札の辻

札の辻
私は17歳の時に夢中になったのが、遠藤周作著短編小説でした。
何度も何度も感想文を書きました。
「死ぬのが、こわいのです。私は、死ぬのがこわいのです」と、叫び続けた弱虫のネズミと呼ばれた修道士の男は、ある雨の降る夕方、札の辻の処刑場の跡地に立った。
札の辻は、江戸時代、原主水たち50人のキリシタンたちが柱に縛られて火をつけられた処刑場だった。
ネズミと呼ばれた修道士は、その後、ダッハウ強制収容所に収監され、仲間の身代わりとなって飢餓の刑に処せられた。
弱い人間は、肉体の恐怖の前に、臆病に埋もれたままなのか、果たしてどう生きて死ぬべきなのか?
当時、17歳の私もまた、札の辻に立ち、自分を犠牲にしてでも他人のために尽くして生きたいと思った。
24歳の時に、ダッハウ強制収容所とアウシュビッツ強制収容所にも行きました。
仲間の身代わりとなって飢餓刑に処せられたマキシミリアノ・コルベ神父。
その牢獄の前にずっと私は一人で立ち尽くした。
30年以上が経った今でもこの思いは変わらない。

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雑感

Posted by eli